コラム

ハイドロキノンとは?効果・使い方・副作用・保存方法

シミや色素沈着の治療に長く使われてきた外用成分です。肌を白くする薬ではなく、過剰なメラニンの産生を抑えて色素沈着を少しずつ目立ちにくくしていく治療です。効きにくいシミもあり、使い方と保管の仕方まで含めて理解しておくことが大切です。

老人性色素斑肝斑炎症後色素沈着医師の管理下で

ハイドロキノンは、メラニンをつくる酵素チロシナーゼのはたらきを抑える外用薬です。すでにあるシミをその場で消すのではなく、新しいメラニンがつくられにくい状態をつくり、皮膚の入れ替わりとともに薄くしていきます。2〜3か月を一つの評価の時期と考え、紫外線対策とあわせて行います。効果の出方には個人差があります。

主な対象
老人性色素斑・肝斑・炎症後色素沈着
評価の時期
2〜3か月
当院の濃度
5%(5g)
保管
冷蔵・遮光/開封後3か月
注意
長期の漫然使用は避ける
国内承認
医薬品としては未承認
成分

ハイドロキノンとは

ハイドロキノンは、シミや色素沈着の治療に長く使われてきた外用成分です。肌を白くする薬ではなく、過剰なメラニンがつくられるのを抑えて、色素沈着を少しずつ目立ちにくくしていく治療です。

皮膚では、メラノサイトという細胞でメラニンがつくられています。紫外線や炎症などの刺激を受けるとメラニンの産生が活発になり、皮膚の中にたまるとシミや色素沈着として見えるようになります。このとき重要なはたらきをするのがチロシナーゼという酵素です。

ハイドロキノンはこのチロシナーゼのはたらきを妨げ、メラニンがつくられる過程を抑えます。そのため、すでにあるシミをその場で消すというより、新しいメラニンがつくられにくい状態をつくり、皮膚の入れ替わり(ターンオーバー)とともに薄くしていく治療に近いものです。

ハイドロキノンの作用のしくみ。紫外線や炎症でメラノサイトが活性化してメラニンがつくられ、ハイドロキノンがチロシナーゼのはたらきを妨げ、ターンオーバーとともに色素沈着が目立ちにくくなる3段階の図
作用のしくみを示した図です。効果の出方には個人差があります。
適応

どんなシミに使うのか

ハイドロキノンは、主に表皮側にあるメラニンによる色素沈着に用いられます。

ハイドロキノンの主な適応。老人性色素斑、肝斑、炎症後色素沈着、くすみ・色ムラの4つを示した図
主な適応です。どのタイプかによって適した治療が変わります。
主な適応
シミの種類どんなものか特徴
老人性色素斑長年の紫外線などによって生じる、境界が比較的はっきりした茶色い斑頬・こめかみ・手の甲などにできやすい。シミのタイプによってはレーザーが適することもある
肝斑頬骨のあたりに左右対称に広がる淡い褐色の色素斑紫外線だけでなくホルモン・炎症・摩擦なども関わるとされ、シミとは治療の組み立てが変わる
炎症後色素沈着ニキビ・湿疹・やけど・レーザーのあとに残る茶色い色炎症で過剰につくられたメラニンが残っている状態。ニキビ跡の茶色い部分もこれのことがある
鑑別

効きにくいシミもあります

茶色いものなら何でもハイドロキノンで薄くなるわけではありません。メラニンが真皮の深いところにある場合、外用薬だけでは十分な変化が得られないことがあります。

メラニンのある深さと外用薬の向き・不向き
シミの種類メラニンのある場所外用薬での対応
老人性色素斑主に表皮外用薬の対象になりやすい
肝斑主に表皮外用薬に加えて、紫外線対策と摩擦を減らすことが重要
炎症後色素沈着表皮〜真皮表皮側であれば外用薬の対象になりやすい
雀卵斑(そばかす)表皮体質による部分が大きく、外用薬だけでは変化が乏しいことがある
ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)真皮外用薬だけでは届きにくい
太田母斑真皮外用薬だけでは届きにくい

これらは見た目が似ていることがありますが、それぞれ適した治療が異なります。ハイドロキノンを使う前に「そもそも何の色素沈着なのか」を診断することが大切です。複数のタイプが混ざっていることも珍しくありません。

濃度

濃度が高いほど効くのか

ハイドロキノンはさまざまな濃度が研究されていますが、臨床研究では4%の製剤がよく使われています。肝斑の患者を対象に4%を90日間使用した比較試験では、重症度の指標(mMASI)がおよそ33%低下したと報告されています。別のランダム化比較試験でも改善が確認されており、色素沈着の治療として研究の蓄積がある成分です。

一方で、濃度が高いほど優れているわけではありません。濃度が上がるとメラニンを抑えるはたらきも強くなりますが、皮膚への刺激も強くなる傾向があります。肌質・シミの種類・塗る範囲・併用する治療によって、適した濃度は変わります。

濃度の考え方
濃度位置づけ
2%程度まで化粧品に配合される範囲。国内で市販されているものの多くがこの範囲
4%臨床研究で広く使われている濃度
4%を超える濃度外因性黒皮症の報告例では、4%を超える濃度や長期間の使用が多くみられている

当院の製剤は5%です

当院で処方しているハイドロキノンは5%で、上の表の「4%を超える濃度」にあたります。だからこそ、医師の管理のもとで使い、期間を区切って経過を確認するという使い方をしています。当院では開封後3か月以内を目安にお使いいただき、長期にわたって使い続けることは避けています。

高濃度の製剤を自己判断で長く使い続けることは避けてください。

使い方

使い方の基本

使用方法は製剤の濃度や処方内容によって変わるため、処方した医師の指示に従ってください。一般的には夜のスキンケアで使い、洗顔して肌を整えたあと、お手入れの最後に薄く塗ります

たくさん塗っても、効果が量に比例して高くなるわけではありません。かえって刺激による皮膚炎が起こりやすくなります。

シミの部分だけ塗るのか、広く塗るのか

治療の目的によって変わります。境界のはっきりした色素斑では病変を中心に塗ることがあり、肝斑や炎症後色素沈着のように色ムラが広い範囲にある場合は、医師の判断である程度広く使うことがあります。自己判断で正常な皮膚まで塗り広げず、処方のときに塗る範囲を確認しておくと安心です。

当院での回数・期間・塗り方の詳細は、ハイドロキノンのオンライン診療・処方のページにまとめています。

紫外線対策

日焼け止めとセットで考える

紫外線を浴びれば、メラノサイトは再びメラニンをつくります。ハイドロキノンでメラニンの産生を抑えていても、日中に紫外線を浴び続けていれば変化を感じにくくなります。実際、ハイドロキノンを評価した臨床試験でも、治療と同時に日焼け止めが使われています。

SPFの数字だけでなく、次のことをあわせて行ってください。

・十分な量を塗る
・外出時間が長ければ塗り直す
・帽子や日傘も使う
・強い日差しを長時間浴びない

期間

どのくらいで変化を感じるか

即効性を期待する治療ではありません。早い方では数週間ほどで変化を感じることがありますが、通常は2〜3か月程度を一つの評価の時期と考えます。臨床試験でも8〜16週間ほどの治療期間で評価されているものが多くあります。効果の出方には個人差があります。

一定期間使っても変化がないとき

漫然と塗り続けるのではなく、次の点を見直したほうがよい場合があります。

・そもそもハイドロキノンが適したシミなのか
・色素が深いところにないか
・肝斑と別のシミが混ざっていないか
・紫外線や摩擦が続いていないか

副作用

副作用と、注意したいこと

主な副作用
症状起こり方対処
赤み・かゆみ・ヒリヒリ感比較的起こりやすい。皮むけや腫れを伴うこともある軽ければ使用頻度の調整で対応できることがある。強い場合は中止して相談する
白斑・色素脱失頻度は高くないが、過度の使用で正常な皮膚まで色が抜けることがある高濃度の製剤や長期間の漫然使用を避ける。変化に気づいたら中止して相談する
外因性黒皮症長期間使用した部位が、逆に灰色〜青黒く変化する一度生じると治療が難しい。自己判断で何年も使い続けない

刺激症状は「効いている証拠だから我慢する」というものではありません。症状が強いときは使用を中止してご相談ください。

外因性黒皮症について

ハイドロキノンで長期的にとくに注意したいのが外因性黒皮症です。報告例をまとめたシステマティックレビューでは、使用期間の中央値は5年で、4%を超える濃度での報告も多くみられています。

「以前処方してもらったものをずっと使っている」という方は、一度医師にご相談ください。

変色

ハイドロキノンは酸化して変色します

「クリームの色が変わってきたけれど大丈夫ですか」というご質問をよくいただきます。

ハイドロキノンは化学的に酸化されやすい性質を持っています。長期間保存したり、空気・光・温度の影響を受けたりすると、クリームが少しずつ黄色から褐色に変わることがあります。

これは患者さんの扱いが雑だったから起こるとは限りません。ハイドロキノンという成分そのものが、もともと酸化に弱いためです。製剤には基剤・抗酸化成分・容器などの工夫がされていますが、酸化を完全になくすことはできません。

変色したものは使ってよいのか

明らかに色や状態が変わっている場合は、自己判断で使い続けず、処方した医療機関にご相談ください。

ここで大事なのは、「茶色くなったハイドロキノンを塗ると、それ自体がシミになる」と単純に考える必要はないということです。ただし明らかな変色は、製剤の酸化や劣化が進んでいるサインです。有効成分の安定性や品質を保証できなくなるため、変色したものを使い続けることはおすすめできません。

当院で処方したものに明らかな色調や性状の変化がみられた場合は、そのまま使わずご相談ください。

保管

保存方法

ハイドロキノンは保存状態によって品質が変わりやすい薬です。雑に扱わないことが大切です。

・直射日光を避ける(洗面所の窓際、車の中などに置かない)
・高温を避ける(夏場の室内や車内は非常に高温になります)
・使ったらすぐにふたを閉める(空気に触れる時間を減らす)
・別の容器に詰め替えない(遮光性や密閉性を考えた容器が使われています)

冷蔵保存が必要かは製剤によって変わります

「ハイドロキノンは必ず冷蔵庫」と一律に決まっているわけではありません。基剤や配合成分によって適切な保存条件が変わるため、処方された製剤に案内されている保存方法を優先してください。

当院の製剤は冷蔵・遮光で保管し、開封後は3か月以内を目安に使い切っていただいています。

併用

トレチノインとの違いと組み合わせ

2剤の役割の違い
ハイドロキノントレチノイン
主な役割メラニンの産生を抑える表皮のターンオーバーを促す
向き新しい色素をつくらせにくくするすでにある色素を外へ出しやすくする
主な副作用赤み、かぶれ、色素の異常など赤み、皮むけ、乾燥、刺激など

2つを組み合わせると、「メラニンをつくらせにくくする」と「すでにあるメラニンを外へ出す」の二方向から色素沈着にはたらきかけられます。組み合わせた治療は古くから行われてきました。

ただしトレチノインはハイドロキノンより皮膚の刺激が出やすく、赤み・皮むけ・ヒリつき・乾燥が起こることがあります。強い炎症を起こすと、かえって炎症後色素沈着につながることもあります。使用する場合は医師の指導のもとで量と頻度を調整することが大切です。

トレチノインについてはトレチノインのオンライン診療・処方のページをご覧ください。

レーザー

レーザーとは併用できるのか

症状によっては組み合わせることがあります。ただし「シミならとりあえずレーザーとハイドロキノン」という考え方ではありません。

とくに肝斑は刺激によって悪化することがあり、レーザーの種類・出力・照射の仕方を慎重に選ぶ必要があります。一方、老人性色素斑などでは、レーザーで色素を取り除いたあとの炎症後色素沈着への対策として外用治療を組み合わせることがあります。

最適な方法は「何のシミなのか」によって変わります。レーザーによるシミ治療はシミ取りレーザーのページをご覧ください。

妊娠・授乳

妊娠中・授乳中は使えるのか

妊娠中のハイドロキノンについては、安全性に関する十分な臨床データが確立されていません。そのため妊娠中・授乳中は使用を避けるか、医師と十分に相談したうえで判断するのが一般的です。

妊娠中は肝斑などの色素沈着が目立ちやすくなることがありますが、紫外線対策を中心に対応し、出産後にあらためて治療を検討する方法もあります。

中止の目安

使用を中止してご相談いただきたい症状

次の症状があれば、いったん中止してご相談ください

  • 強い赤みが続く
  • 強いかゆみや腫れがある
  • 水ぶくれができた
  • 痛みがある
  • 塗った部分だけ異常に白くなってきた
  • 灰色〜青黒く変色してきた
  • シミが明らかに濃くなってきた
  • クリーム自体が大きく変色した/におい・硬さ・分離など状態が変わった

我慢して使い続けることはおすすめしません。皮膚の状態を確認したうえで、使用頻度の調整、中止、別の治療への変更などを判断します。

まとめ

安全に使うための5つのポイント

  1. 適切な濃度を使う高濃度だから治療効果が高いというものではありません。
  2. 塗りすぎない薄く適量を使います。量を増やしても効果は比例しません。
  3. 紫外線対策を続ける日焼け止めに加えて、帽子や日傘もあわせて使いましょう。
  4. 長期間漫然と使わない一定期間ごとに治療効果と皮膚の状態を評価します。
  5. 保管方法を守る酸化しやすい薬です。光・高温・空気に触れることをできる限り避けます。
ご確認ください

当院で処方するハイドロキノンについて

国内未承認の医薬品です

ハイドロキノンを有効成分として、日本国内で薬機法上の承認を受けた医薬品はありません。医師が医学的に必要と判断した場合に限り、自由診療として処方しています。

入手経路

当院で調製している院内製剤です。調製・保管は当院で管理しています。化粧品として市販されているハイドロキノン配合製品を仕入れて販売しているものではありません。

国内で承認されている医薬品の有無

ハイドロキノンを有効成分とする国内承認医薬品はありません。一方で化粧品への配合は認められており、市販の化粧品にも用いられています。ただし化粧品として配合される濃度は一般に2%程度までで、当院の5%は化粧品として流通する濃度を超えるため、医師の管理のもとで使用する必要があります。

諸外国における安全性等に関する情報

米国では2020年9月、一般用医薬品の制度見直しにともない、一般用医薬品としてのハイドロキノン製品の販売が終了しました。有効性・安全性が十分に確認された成分とは認められなかったためです。医師の処方薬としては引き続き使用されています。

欧州(EU)では2001年から、化粧品へのハイドロキノンの使用が禁止されています。白斑や外因性黒皮症の報告があったためです。

発がん性については、動物実験の結果をもとに議論されてきましたが、ヒトでの発がん性は確認されていません。ヒトとげっ歯類では代謝の経路が異なることが指摘されています。

ご理解いただきたいこと

  • 国内未承認の医薬品には、医薬品副作用被害救済制度が適用されません
  • 国内で承認された医薬品と比べ、日本人における有効性・安全性のデータが限られています。
  • 当院の治療はすべて自由診療です。健康保険は適用されず、費用は全額自己負担となります。
処方

当院で処方を受けるには

当院ではハイドロキノン5%(5g)を1個2,980円で処方しています。処方を受ける場合の診察料は0円、オンライン診療では送料550円のみのご負担です。トレチノインとのセットもご用意しています。

初診からオンライン診療に対応しており、全国へ配送します。料金・診療の流れ・副作用や飲み合わせの詳細は、ハイドロキノンのオンライン診療・処方のページをご覧ください。

シミは種類によって適した治療が大きく異なります。「塗ればどのシミも薄くなる」と考えるのではなく、ご自身の色素沈着がどのタイプなのかを診察で確かめたうえで、治療方法を選んでいきましょう。

FAQ

よくあるご質問

ハイドロキノンで薄くならないシミはありますか?

あります。メラニンが真皮の深いところにある太田母斑やADM(後天性真皮メラノサイトーシス)などは、外用薬だけでは届きにくいとされています。雀卵斑(そばかす)も体質による部分が大きく、外用薬だけでは変化が乏しいことがあります。見た目が似ていても適した治療は異なるため、まず何の色素沈着なのかを診断することが大切です。

クリームが黄色や茶色になってきました。使ってよいですか?

ハイドロキノンは酸化しやすいため、時間の経過とともに色調が変わることがあります。明らかな変色がある場合は品質が変化している可能性があるため、そのまま使わず処方元にご相談ください。なお「茶色くなったものを塗るとそれ自体がシミになる」と単純に考える必要はありません。

冷蔵庫に入れたほうがよいですか?

製剤によって異なります。ハイドロキノンだからといって、すべてが一律に冷蔵保存というわけではありません。処方のときに案内された保存方法を守ってください。当院の製剤は冷蔵・遮光で保管し、開封後は3か月以内を目安に使い切っていただいています。

たくさん塗れば早く効きますか?

いいえ。使用量を増やしても効果が比例して高くなるわけではありません。むしろ赤みやかぶれなどが起こりやすくなります。薄く適量を使ってください。

使っているのにシミが濃くなってきました。

炎症後色素沈着、紫外線、摩擦、そもそもシミの種類が違うなど、さまざまな原因が考えられます。非常に長期間使用している場合は外因性黒皮症も考える必要があります。いったん使用を中止して、診察を受けることをおすすめします。

何年も塗り続けても大丈夫ですか?

長期間の漫然とした使用はおすすめしません。報告例をまとめたシステマティックレビューでは、外因性黒皮症を生じた症例の使用期間の中央値は5年でした。一定期間ごとに効果と皮膚の状態を評価し、続けるかどうかを判断します。当院では長期にわたって使い続けることは避けています。

妊娠中・授乳中でも使えますか?

安全性に関する十分な臨床データが確立されていないため、妊娠中・授乳中は使用を避けるか、医師と十分に相談したうえで判断するのが一般的です。紫外線対策を中心に対応し、出産後にあらためて治療を検討する方法もあります。

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