コラム
トラネキサム酸とは?肝斑への効果・副作用・飲み方と継続の注意
トラネキサム酸は、出血や炎症に伴う症状などの治療に使われる成分です。医療用医薬品のトランサミンに含まれています。美容診療では肝斑に使われることがありますが、医療用トランサミンの承認された効能に肝斑は含まれていません。
この記事では、肝斑への効果をどのように判断するか、市販薬との違い、飲み方や副作用、続ける間のケアを説明します。当院の料金と受診については、トラネキサム酸のオンライン診療・処方料金をご覧ください。
監修:森田 將 医師(日本泌尿器科学会 専門医・指導医/日本内分泌学会 専門医/医学博士)
トラネキサム酸は抗プラスミン作用を持つ成分です。医療用トランサミンの肝斑への使用は適応外で、市販の肝斑改善薬とは製品・用法が異なります。血栓や腎機能、併用薬を確認し、処方された薬の指示に従って使用します。
- 成分
- トラネキサム酸
- 当院の製品名
- トランサミン錠
- 肝斑への使用
- 医療用トランサミンでは適応外
- 用量
- 規格・薬袋・医師の指示を確認
- 注意
- 血栓の既往、腎機能、併用薬
- 保存
- 室温。包装・薬袋の指示に従う
トラネキサム酸の作用と承認された用途
トラネキサム酸は、血液を固める働きに関係するフィブリンの分解を抑える抗プラスミン作用を持つ薬です。トランサミンには、特定の出血、湿疹などに伴う症状、扁桃炎・咽喉頭炎の症状、口内炎などの適応があります。原因を確認せず、出血や喉の痛みを自己判断で治療するための説明ではありません。PMDA:トランサミン電子添文 §4・18
肝斑への使用は、医療用トランサミンでは適応外
肝斑を目的とするトランサミンの処方は、承認された効能の範囲外です。当院でも診察で肌の状態や病歴を確認して判断します。「しみ」と感じるものがすべて肝斑とは限らないため、薬名だけで治療を選ばないことが大切です。
肝斑への効果はどのように調べられているか
肝斑への使用には臨床研究があります。海外の単施設で行われた二重盲検の無作為化比較試験では、中等度から重度の肝斑がある44人を登録し、39人が試験を完了しました。両群で日焼け止めを使用し、トラネキサム酸またはプラセボを3か月服用したところ、肝斑の面積と重症度を評価する指標「mMASI」はトラネキサム酸群でより大きく改善しました。Del Rosarioら:肝斑を対象とした比較試験
ただし、小規模で参加者の多くがヒスパニック系女性という研究です。すべてのしみ、すべての人に同じ結果が出るとはいえず、まれな有害事象のリスクを十分に評価できる規模でもありません。この結果が国内での肝斑への承認や、当院の採用品・用量での効果を意味するわけではありません。肌の診断と病歴を確認し、期待できることとリスクを医師と相談するための資料として読むことが大切です。
市販の肝斑改善薬との違い
トラネキサム酸を配合した一般用医薬品には、しみのうち肝斑を対象として承認されたトランシーノEXがあります。ただし、これは医療用トランサミンとは成分の組み合わせや用法が異なる製品です。市販薬の適応や服用期間を、そのまま医療用単剤へ当てはめることはできません。メーカー:トランシーノEX添付文書/製品説明
肝斑と他のしみを区別する
顔の色むらが肝斑なのか、別の種類のしみなのかで治療の選び方は変わります。トラネキサム酸について肝斑を対象にした研究があっても、日光によるしみ、そばかす、ニキビ跡などに同じ結果を当てはめることはできません。
診察では、いつから気になるか、どの部分にあるか、変化の経過、これまで使った薬や受けた施術を伝えてください。写真や画面だけでは判断が難しく、対面での診察が必要になる場合もあります。米国皮膚科学会:肝斑の診断と治療
飲み方の基本
服用量は、処方された製品の規格と医師の指示を確認してください。同じ「1錠」でも含まれる成分量が違う製剤があります。服用の回数やタイミングも、ご自身の処方内容と薬袋の指示を確認してください。
承認された用途の用量を、そのまま肝斑への標準量として使ったり、ご自身で錠数を換算して増やしたりしないでください。トランサミン電子添文 §6
効果はいつ評価する?継続とやめどきの相談
肝斑への内服研究には、3か月後の変化を比較したものがあります。ただし、この「3か月」は研究で評価した時点であり、全員に同じ期間の服用を勧めるものでも、そこまでに効果が出ると約束するものでもありません。
同じ試験では、内服を終えて日焼け止めだけを使用した3か月後も経過を確認しています。改善の程度は内服終了時から変化しており、一度薄くなればその状態がずっと続くとは限りません。Del Rosarioらの比較試験
効果が分からないとき・やめたいとき
肌の変化だけでなく、服用中の体調や新しく使い始めた薬も含めて、継続するかを医師と見直します。変化が乏しいときは、薬を増やす前に肝斑という診断や治療の組み合わせを再確認しましょう。改善した場合も、続ける理由と次の見直し時期を相談してください。
市販の肝斑改善薬の使用期間を、医療用トランサミンへそのまま当てはめないでください。処方薬について「何か月でも安全」「必ずこの期間は飲む」と一律に判断せず、ご自身の処方内容を確認します。
紫外線対策は服用中も続ける
肝斑の治療では、薬だけでなく日差しへの対策も大切です。日焼け止めに加えて、帽子を使う、日陰を選ぶなどの方法を組み合わせます。トラネキサム酸を飲んでいることを、日焼け止めの代わりにはできません。米国皮膚科学会:肝斑の治療と日光からの保護
日焼け止めや外用薬で刺激を感じる場合は、無理に使い続けず医師へ相談してください。肌に合うケアを選び、薬の経過と一緒に見直していきます。
副作用と血栓についての注意
食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢、胸やけ、発疹・かゆみ、眠気などが起こることがあります。人工透析を受けている方では、重大な副作用として痙攣に注意が必要です。
血栓のある方や血栓症の危険性がある方では、血栓を安定化させるおそれがあります。過去に脳血栓、心筋梗塞、血栓性静脈炎などと診断されたことがある場合、手術後に長く横になっている場合などは、必ず診察時に伝えてください。トランサミン電子添文 §9・11
中止・受診を急ぐ症状
服用中に突然の息苦しさや強い胸の痛みが出た場合、または唇・舌・喉が突然腫れた場合は、通常のオンライン診療の予約を待たず、救急の受診を求めてください。日本では119番で救急車を要請できます。血栓や重いアレルギーなど、急いで確認すべき症状です。
片側の手足の痛み・腫れ・赤み、見え方の異常が現れた場合も、速やかに医療機関へ相談してください。薬の名前と服用状況を伝え、次の服用をどうするか指示を受けます。英国NHS:トラネキサム酸の副作用と受診の目安
軽いと思う症状でも、発疹や吐き気などが続く場合は処方元へ相談してください。症状を我慢して継続したり、ご自身で増量したりしないことが大切です。
使用できない場合と併用薬
トロンビンを使用中の方には投与できません。ヘモコアグラーゼ、バトロキソビン、凝固因子製剤なども併用の確認が必要です。腎機能が低下している方、透析を受けている方、過去に薬のアレルギーがあった方も医師へ申し出てください。
市販のかぜ薬・喉の薬・肝斑改善薬などにトラネキサム酸が含まれていることもあるため、現在使っている製品を伝え、成分が重ならないか確認してください。ピルなどのホルモン製剤についても、使用中であることを伝えて医師の判断を受けてください。トランサミン電子添文 §2・9・10
妊娠・授乳中の使用
医療用トランサミンの電子添文では、妊娠中は治療上の利益が危険性を上回る場合に限って使用するとされています。授乳中も治療と母乳栄養の利益を踏まえた判断が必要です。美容目的で自己判断して服用せず、妊娠の可能性や授乳について医師に相談してください。トランサミン電子添文 §9.5・9.6
外用薬・レーザーなど他の治療との関係
肝斑には、内服だけでなくハイドロキノンなどの外用薬や、状態に応じた施術を組み合わせる治療があります。内服と外用は使う場所や注意点が異なるため、どちらかが全員に優れているとはいえません。ハイドロキノンの効果・使い方・注意点も参考に、現在使っている薬を医師へ伝えてください。
レーザーや光治療は、肌の状態や他の治療を踏まえて適否を選ぶ必要があります。トラネキサム酸を飲んでいればどの施術でも受けられる、という意味ではありません。施術を予定している場合は、担当医に内服・外用薬の名前と使用状況を伝え、併用と前後の使い方を確認しましょう。米国皮膚科学会:肝斑の薬物療法と施術
保存方法
トランサミンは室温保存の薬です。お渡しした薬袋や包装の指示に従って保管してください。シート入りの錠剤は、シートから取り出して服用します。シートごと飲み込まないよう注意してください。トランサミン電子添文:貯法・§14
外観の変化や包装の破損が気になる場合は、色だけで品質や使用可否を判断せず、薬を渡した医療機関・薬局へ確認してください。
当院で処方を相談するには
当院で取り扱うトランサミン錠の薬代は、90錠で2,400円(税込)です。製品の規格と服用方法は、処方時の説明と薬袋で確認してください。
当院では、トランサミン錠を美容内服薬として取り扱っています。料金、処方前の確認事項、予約の案内は、トラネキサム酸のオンライン診療・処方料金にまとめています。肝斑への使用が適応外であることを確認し、併用薬や血栓のリスクを含めて医師にご相談ください。
安全に使うためのポイント
- 肝斑と他のしみを区別し、適応外使用の説明を確認する。
- 製品の規格と処方指示を確認し、自己判断で増量しない。
- 血栓の既往や腎機能、妊娠・授乳について医師に伝える。
- 市販薬を含めた併用薬を伝え、成分の重複を確認する。
- 紫外線対策を続け、効果や体調を医師と見直して継続を判断する。
よくあるご質問
トランサミンとトラネキサム酸は同じですか?
トラネキサム酸は成分の名前で、トランサミンはその成分を含む薬の販売名です。成分名が同じでも、製品によって剤形や含量が違います。
市販薬と一緒に飲んでもよいですか?
成分が重複する場合があるため、服用前に確認してください。市販薬の箱や成分表示、お薬手帳などを用意すると確認しやすくなります。
すべてのしみやニキビ跡に使えますか?
一律には判断できません。肌の状態と診断に応じて治療を選びます。市販の肝斑改善薬も、全てのしみを対象とした薬ではありません。
血栓の経験がありますが、服用できますか?
必ず診察前に申し出てください。血栓やその危険性がある方には注意が必要です。過去の病名や現在の治療を踏まえて医師が判断します。
効果が分からないときは、量を増やしてもよいですか?
自己判断で増量しないでください。肝斑以外のしみが混じっていないか、処方された薬の使い方や経過を医師と確認します。研究での評価期間と、ご自身に必要な服用期間は同じとは限りません。
飲んでいれば、日焼け止めは使わなくてもよいですか?
日焼け対策は続けてください。内服は日焼け止めの代わりではありません。日焼け止めや帽子などを使い、肌に合う方法を選びましょう。
この記事の監修医
森田 將 医師(もりた まさし)
新橋銀座スウィフトクリニック 監修医師
- 日本泌尿器科学会 専門医・指導医
- 日本内分泌学会 専門医
- 医学博士(昭和大学)
- 昭和大学医学部 卒業